手足口病の治療って?乳児や赤ちゃんはどうすればいいの?
インフルエンザウイルスに怯える冬を乗り越え、ホッとしたのもつかの間。
すぐに夏風邪に悩まされる季節到来!
中でも毎年流行する病気の1つが手足口病です。
発疹が出ることは有名ですが、他の症状、感染原因など実はよく知らないことも多いのではないでしょうか?
今回は症状や予防法など役立つ情報をご紹介します!
手足口病ってどんな病気?
手足口病はウイルス感染によっておこる感染症の一種です。
一般的に夏風邪の一種と言われていますが、実は夏風邪って正式な病名ではく、夏に感染するウイルス性の病気の総称なんですよ!
毎年6月から8月にかけて患者数が急増する「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱(咽頭結膜炎)」が3大夏風邪と言われています。
それではここで手足口病について詳しくみていきましょう!
■症状
・発疹
手足、口の中に1mm~4mm程度の水疱性の発疹が出ます。
お腹、おしり、肘や膝といった手足口以外の場所に発疹が出る場合もあります。
乳幼児の手足口病の場合、口内以外の発疹にはほとんど痛み・かゆみは伴いません。
・発熱
3割くらいの人が38度以下の熱を出します。
それ以上の高熱が出ることは稀で、熱が出た場合もほとんどが1日~3日程度で下がります。
■原因
原因はずばり!
ウイルス感染です!
「コクサッキーウイルスA16」や「エンテロウイルス」が主な原因ウイルスですが、その年により流行するウイルスが異なります。
しかも、原因ウイルスはわかっているだけでも10種類以上あるんです!
そのため、一度かかってもまた別のウイルスに感染し、再び手足口病を発症!なんてこともあるので、注意が必要ですね。
手足口病って数年に一度の大流行もありますが、基本的に毎年流行っていると思いませんか?
実は手足口病が夏に流行るのは、この原因ウイルスが耐熱・耐湿性質を持っているせいなんですよ。
特にコクサッキーウイルスは湿度の高い場所が大好きなので、湿気の多い日本の夏はとても都合の良い季節なんですね。
■感染対象者
手足口病というと、子供の病気というイメージがありませんか?
イメージ通り「5歳以下の乳幼児が患者数の90%前後」を占めています。
感染者のほとんどを乳幼児が占めていますが、残りの10%前後は大人が感染しています。
感染した子供を看病するママはもちろん、保育士さんなど乳幼児に触れる機会の多いお仕事の方も感染する可能性が高まるので、しっかり予防が必要ですね。
大人の感染の中でも、注意してほしいのは妊婦さんです。
免疫力が低下する妊娠中は、手足口病だけでなくすべての病気に感染する可能性は高まります。
そこで一番心配なのはお腹にいる赤ちゃんへの影響ではないでしょうか。
手足口病の原因ウイルスの1つ、エンテロウイルスにより胎児に異常が出る確率が上がるという報告があります。
しかし、エンテロウイルスによる胎児の異常や流産は極めて稀なため、一般的には「胎児への影響はほぼない」と言われています。
私自身、妊娠中は様々な症状に病気を疑って心配していました。
そんな気持ちが赤ちゃんに届くよ!などと言われても心配なものは心配なんです。
この気持ちは妊婦さんや経験者にしかわからないのかもしれませんね。
過剰に心配する必要はありませんが、まずは自分でできる予防をきちんと行い、少しでも体調に変化があった場合は、健診を待たずに主治医に相談しましょう!
治療方法とママがしてあげられることは?
これだけ毎年流行する手足口病ですが、残念なことに特効薬はなく、特別に治療をすることはありません。
基本的に症状が軽いことが多い病気のため、経過観察が主となります。
但し、発熱がある場合は解熱剤の処方、脱水症状を起こす危険がある場合は点滴をするなど、その患者に合った対処療法は主治医の判断で行います。
とはいえ、病気の子供を持つママは何かしてあげたい!と思いますよね。
そんな時、ママがしてあげられることは何があるのでしょうか。
■食べやすい物、飲みやすい物を与えてあげる
乳幼児が発症すると喉の痛みから食欲が落ちます。
熱い食べ物や柑橘系果汁などは痛みを悪化させるため、控えましょう。
経口補水飲料や冷ましたおかゆなどが最適ですが、更に薄味にすることで刺激が少なくなり、摂取できるようになります。
また、乳児の場合はまだ主食が母乳やミルクの場合、離乳食もまだドロドロの潰し粥段階のこともあるでしょう。
その場合は通常時よりも冷た目にしてあげることで、摂取しやすくなります。
母乳の場合は一度絞って冷蔵庫で冷やすなど、多少手間がかかりますが、たったそれだけで飲んでくれるのであれば試す価値ありですよね!
それでも摂取を嫌がる時は脱水症状の心配もあるので、早めに病院に行きましょう!
重症化
手足口病はほとんどが発症後3日~7日で回復します。
しかし、稀に髄膜炎や脳炎などの合併症を起こしてしまうことがあるんです!
大変残念なことですが、この10年以内に手足口病が元での死亡例もあります。
水分補給ができずおしっこも出ない、高熱や嘔吐、強い頭痛、視線が合わない、呼びかけても答えない、ぐったりしているなどの症状がある場合は重症化する恐れがあるため、すぐに病院へ行きましょう。
■大人は重症化しやすい!
乳幼児に多い病気であることは既に触れていますが、大人が感染した場合は重症化する傾向にあります。
通常38度以下の発熱が多いところ、大人が感染した場合、3割程度が40度近い高熱を出します。
発疹は乳幼児の場合よりも痛み・かゆみを伴うことが多く、人によっては足裏の発疹が原因で歩けなくなる人もいるんです。
咽頭の発疹が原因で飲食がまったくできず脱水症状を起こす場合の他、頭痛・筋肉痛・関節痛・悪寒・下痢などの症状も起きることがあるので、辛いですよね。
予後も乳幼児より注意する必要があります。
乳幼児は新陳代謝が良いためか、発疹がきれいに消えますが、大人の場合は皮が剥がれたり、しばらく痕が残ったりすることもあります。
また、コクサッキーウイルス感染の場合、完治してから3~11週間後に一部の爪が変形したり、剥がれたりすることもありますが、きちんと完治しますので心配しないでくださいね。
似ている病気 ヘルパンギーナ
手足口病と同じ夏風邪に属する病気にヘルパンギーナがあります。
ヘルパンギーナも水疱ができるため手足口病と間違えやすいんですよね。
■ヘルパンギーナの主な症状
・口内に水疱ができる
・38度~40度の高熱が出る
もうわかりましたか?
手足口病が手足や口内に水疱ができるのに対し、ヘルパンギーナは口内のみに水疱がでるんです。
また、ヘルパンギーナの水疱は喉の奥にでき、破れ、粘膜がむき出しになるので、喉の痛みが強いのが特徴です。
感染経路と感染期間
誰でも手足口病にかからないようにしたい!と思いますよね。
そのためにまず、手足口病がどのように感染するのか、感染経路を知っておきましょう。
■飛沫感染
インフルエンザなどでもお馴染みになった飛沫感染。
感染した人がくしゃみ・咳をすることで病原体が飛散し、他の人の粘膜に付着することで感染します。
■接触感染
粘膜や皮膚が直接的に接触することで感染します。
また、ウイルスがついた手で触れた物や食べ物などに知らずに触れてしまい、その手から目や口などの粘膜にウイルスが付着するといった間接的な接触でも感染します。
■糞口感染
感染者の排泄物内のウイルスが、口に入ることで感染します。
トイレ後やオムツ交換後に手洗いが不十分なままで食べ物を扱うことが主な原因です。
感染期間
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手足口病はウイルスに感染してから発症するまでおおよそ3日~5日間の潜伏期間があります。
また、一般的に手足口病の発症期間は発熱、発疹、口内炎、喉の痛みなどの諸症状が出てから1週間~10日間と言われています。
発疹などの症状が発生している頃は既に感染力が弱まっていると言われていますが、潜伏期間から発症期間の間である10日~約2週間は人に感染させる力を持っていることになります。
しかし、ウイルスは唾液などから消えた後も排泄物に残っているんです!
排泄物にウイルスが残る期間は約1か月と言われていますので、発症後1か月は人に感染させてしまう可能性がある「感染期間」となります。
その中でも唾液や水疱から直接感染するリスクの高い発症後10日~2週間が最大限に注意する期間です。
どうすれば予防できるの?
時期により多少感染力に違いがあるものの、毎年の流行を見る限り感染する可能性は低いとは言えません。
ここでは各感染経路を元に、予防法をみていきましょう。
■飛沫感染
やはりマスクを利用するなどの咳エチケットの徹底と、うがいが一番の予防になります。
但し、主な感染者となっている乳幼児は咳エチケットや十分な手洗いを徹底することは非常に難しいのではないでしょうか。
■接触感染
これもまた一般的に言われ続けている、手洗い、うがいが効果的です。
外出先で様々な場所に触れた手で目をこする、手洗いせずに食べ物に触れるなどをしないよう注意が必要ですね。
入浴時に同じ桶やタオルを使用することで接触感染の可能性を高めます。
発疹の内容物にもウイルスが含まれているので、身体を洗ってあげる際に水疱をつぶしてしまい、内容物に触れてしまうことも感染原因となります。
■糞口感染
オムツ交換後は必ずしっかりと手洗いをすることが重要です。
また、交換したオムツはしっかり密封して捨てます。
この予防法を見て気付いた方も多いかと思いますが、幼稚園・保育園で流行してしまう原因はここにありそうですよね。
よだれや鼻水がついた手でオモチャなどを触り、別の乳幼児が同じオモチャを触った手をしっかり洗わずにご飯を食べればこれは立派な接触感染です。
幼稚園教諭の方々や保育士さんも十分理解したうえで、手洗いなど遂行していますが、それでも一般的な乳幼児の行動の中で完全に予防することは難しいですよね。
実際、私は幼稚園教諭の免許を保持しているのですが、必ず数分単位の詳細なタイムスケジュールを組みます。
その中には「手洗い・うがい」という行動時間も割り当てています。
手洗いについて教える時間もありますし、実際手洗いする際もそばについて手取り足取りきちんと洗えるように補助しますが、毎回全員に同じことをするのは難しい環境です。
手足口病にかかったら登園、登校はしていいの?
インフルエンザやおたふくかぜにかかった場合、「学校に行ってはいけません」という出席停止期間がありますよね。
これは学校保健安全法の中で病気により第1種から第3種まで扱いが定められています。
第1種
感染症予防法で発症すると入院・治療が必要なため、完治(退院)するまで登校できない
第2種
感染した場合は学校に届け出、決められて出席停止期間に従い、医師の許可が出るまで家庭で安静にする
第3種
出席定期期間の基準はないが、「病状により医師が感染の恐れがないと認めるまで」となっていますので、症状によって登校してもよいと医師が判断した時は登校できます。
インフルエンザやおたふくかぜ、風疹、水痘、プール熱等は第2種に定められた病気に入ります。
手足口病はこの第3種に属しますが、「発症前から感染力があること」、「感染期間が長いこと(症状がなくなっても感染力を持つ)」から登校・登園禁止で感染を予防することはほぼ不可能なため、ほとんどの幼稚園・保育園では登園禁止にしていないようです。
中には規定を定めている園もあるようなので、事前に各園に確認をしておいた方が良いですね。
まとめ
これからの季節、毎年多数の患者を出している手足口病についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
特効薬がないことに不安を感じる方も多いかと思います。
あまり敏感にならず、まずはしっかりと予防を心掛けましょう!
万が一感染してしまった場合には重症化を避けられるよう、症状をきちんと見定めて、必要に応じて受診できるように備えましょう!