高齢者がなる熱中症で入院も?子供はどうなの?
熱中症は病気ですから原因を知っていれば、事前に予防できます。
大人は頭痛やめまいなどの症状で異変に気付けます。
すぐに水分補給や、病院に行くこともできます。
しかし、高齢者や子供は気づけなかったり、伝えることができなかったりして重症化することがあります。
今回は高齢者と子供の熱中症についてご紹介します!
子供が熱中症で入院になった時は?
子供の熱中症の多くは脱水症状が原因で起きています。
大人の体内水分が約60%に対し、乳児の場合は70%~80%が水分なんです。
そして新陳代謝が活発な時期でもあるため、熱中症にかかりやすいんですね。
また、寝ている間にも汗をかいていることはみなさんご存じだと思います。
この汗の量も大人より子供の方が多いんです。
これもまた、乳幼児が熱中症にかかりやすい原因になっています。
このように熱中症になりやすい乳幼児は、熱中症になった場合の進行も早いのです。
特にまだ話すことのできない赤ちゃんは辛い、苦しいと訴えることができません。
そしてママやパパが気づかないうちに初期症状を通り越し、どんどん症状が進行してしまいます。
ここでは熱中症による子供の入院についてご紹介しますね。
■熱中症で入院するの?
熱中症は重症度により3つに分類されています。
重症度別に入院についてまとめました。
・軽度(熱痙攣、失神)
持病を持っているなどを除けば、軽度で入院することはほとんどありません。
自宅で体を冷やしたり、水分補給をしたりすることで数時間~1日程度で回復します。
・中度(熱疲労)
中度の熱中症にかかった場合は入院する可能性が出てきます。
というのも、中度まで進むと病院へ行かなければならないほど重症化する危険があるからです。
ここまで進行すると頭痛や嘔吐など軽度に比べて、目に見える症状が出てきます。
そして回復に3日~1週間程度の時間を要します。
病院を受診し、医師の判断により帰宅できるか、入院が必要か判断されます。
・重度(熱射病)
重度になると入院はもちろん、症状に気づいた段階で救急車を呼ぶレベルです。
全身痙攣や意識障害が出るとともに、体内では脳や臓器など重要な部分の損傷が始まっています。
人により様々ですが、回復には時間がかかり、脳や臓器に後遺症が残ることもあります。
最悪の場合は、死亡に至ってしまうこともあります。
一般的に軽度脱水症状だけの場合は、入院せずに点滴などにより体内水分の補給やバランス補正を行うことが多いです。
脱水症状が重く、体内バランスの補正に時間を要する場合は入院の対象になります。
■入院してどんな治療をするの?
入院になった場合どのような治療をするのでしょうか。
・中度(熱疲労)
点滴や経口で塩分や水分を補給します。
その他に血液検査で異常が出た場合は、その症状にあった治療が行われます。
・重度(熱射病)
点滴で塩分や水分を補給します。
同時に対応を下げるために急速冷却をします。
冷却は体の表面を水で濡らし、送風をする方法、胃にチューブを挿入し、冷水を流し込む方法などがあります。
多臓器不全や脳機能障害がある場合は集中治療室へ入り、人工呼吸や透析など症状にあった治療が行われます。
■入院費はどれくらい?
入院期間や検査、治療内容により異なります。
特に救急搬送され、集中治療室や救命救急センターに入院となった場合は1泊2日の入院でも100,000円近くなることがあります。
また、治療効果を確認するために血液検査を繰り返し行う場合なども費用が高くなります。
高齢者は入院になりやすいの?
乳幼児は大人よりも熱中症になりやすいことは既にお分かりいただけたと思います。
実は大人の中でも高齢者は乳幼児と同じく、熱中症になりやすいんです。
昨年、熱中症で救急搬送された人のうち、50%程度が65歳以上の高齢者でした。
では、高齢者はなぜ熱中症になりやすいんでしょうか。
■高齢者が熱中症になりやすい理由
・体内水分量が少ない
高齢になると体内の水分量が少なくなっています。
元々の水分量が少ないところに発汗などで水分を排出するため、脱水症状になりやすいんです。
また、体内の老廃物を排出するために、多量の尿を必要とします。
これもまた脱水症状になりやすい原因なのです。
・体温調節機能の低下
乳幼児は体温調節機能が未発達でしたね。
高齢者は逆で、体温調節機能が低下しているのです。
この体温調節機能の低下により体内に熱がたまりやすくなっています。
このようなことから、若い世代よりも循環系に対する負担が大きく、熱中症になりやすくなります。
・暑さを感じにくい
高齢になると30度を超えても暑いと感じないなど、暑さを感じにくくなります。
また、体が水分を欲していても同じく気づきにくく、熱中症が進行してしまうのです。
・我慢強い、節約家
暑いと感じても我慢してしまう傾向にある方が多いのも特徴です。
また、エアコンは設置してあるけどもったいないから使わないという方もいます。
金銭的な節約が目的の場合もありますが、昔はエアコンなんてなかったけど普通に暮らしていた、と考えている人も多いようです。
現在、地球はヒートアイランド現象により昔と比べて気温があがっていますよね。
その点を考慮していただきたいところですが、夏は暑くて当たり前なんだ!という考えが強く、結果我慢をしてしまうんですね。
中には熱中症が病気だという認識がなく、暑さに我慢できないだけと勘違いしてしまっている方もいるようです。
■高齢者は入院になりやすいの?
高齢者は乳幼児と少し理由が異なるものの、熱中症になりやすい体です。
更に我慢してしまう傾向にあるため、熱中症が進行してしまうケースが多いのです。
その結果、頭痛や倦怠感などの初期症状を見過ごし、自分で水分補給ができない、意識障害が出るなど重度になってから周囲が気づいて救急搬送になることになります。
進行した熱中症は重篤な後遺症を残すことはもちろん、死に至ることもあります。
搬送された高齢者の症状や全身状態に危険が残る場合は入院となるのです。
高齢者と子供の注意点は?
熱中症で救急搬送された人の統計をみると、高齢者は自宅内、乳幼児は車内の環境により熱中症になっている人が多いのです。
どちらの場合も屋内です。
熱中症は外にいる人だけが危険な病気ではないのです。
ここでは、高齢者と子供の注意点をまとめました。
■高齢者の注意点
・こまめな水分補給
高齢になると喉の渇きを感じにくくなります。
発汗しても喉が渇いたと感じないので、脱水症状が起こりやすくなるのです。
喉が渇いたと感じなくても、こまめに水分を補給しましょう。
また、高齢者は緑茶を好む傾向にありますが、緑茶は利尿作用があり、せっかく補給した水分が尿として出てしまいます。
スポーツドリンクはもちろんですが、水や麦茶など利尿作用のない水分を補給するようにしましょう。
・温度、湿度の管理
高齢者は気温が高くなっても暑さに気づきにくい傾向にあります。
そのため暑いと思ったらクーラーを!などと注意喚起してもクーラーを使用しないのです。
また、熱中症は気温が高いだけでなく湿度が高くなっても起こります。
対策として温度計や湿度計などを置き、目で見て危険度を確認できるようにしましょう!
・体力づくり
ここまで、高齢者が熱中症にかかりやすいと説明してきました。
しかし、日常的に運動をして、若年層と同等の体力レベルをもつ高齢者は発汗能力など、若年層に劣らない暑さへの耐性があることがわかっています。
高齢になっても日常的に運動をしていれば、体温調節機能の劣化を遅らせることができるのです。
一年を通して、1日1回は汗をかく程度の運動をし、体力づくりをすることが熱中症予防につながります。
・周囲の協力
同居家族がいれば様々な変化に気づき、万が一熱中症になっても早期発見ができると思います。
しかし、近年では単身の高齢者が増えているため、家族が異変に気付くことが難しくなっています。
一部の地域では新聞配達や飲料配達の方が配達の都度、様子を確認したり、高齢者支援企業が電話で体調を確認したりするサービスも増えています。
とはいえ、そのようなサービスを受けている高齢者はまだまだ少なく、目が行き届かない状況なのです。
熱中症は早期発見、対処ができれば予後が良好な病気です。
近隣住民の訪問や遠方に住む家族からの電話が、高齢者の熱中症予防、早期発見のポイントになります。
■子供の注意点
・日ごろからの観察
乳幼児は自分が具合悪くても言葉でうまく伝えることができません。
そのため初期症状に気づきにくく、熱中症が進行してしまう傾向にあります。
パパやママが常日頃から子供の様子を注意深く観察していれば、熱中症になった際も異変に早く気づくことができます。
いつもより顔が赤い、汗の量が多いなどの症状がある場合、深部体温が高くなっている可能性があります。
そのような症状が見られた場合は、涼しい場所で水分補給をして休息させましょう。
・20分に1度は水分補給
高齢者と違い、子供の場合は喉の渇きに気づくことができます。
しかし、喉が渇いたから自分から水を飲むという行動は、覚えなければできません。
また、楽しい遊びが目の前にあれば水分補給よりも遊びを優先させてしまいます。
外遊びなど多量の発汗がある場合は、パパやママをはじめとする保育者が積極的に水分補給をさせてください。
目安として20分に1度、水分補給をすると良いといわれています。
・身長差による気温の違い
天気予報などで伝えられている気温は150cmの高さで測定しています。
しかし、子供は大人よりも背が低いため150cmよりも地面に近い高さで生活をしています。
気温が32度前後の時、50cmの高さの気温は35度を超えます。
大人が暑い時、子供はもっと暑いところにいるんです。
よく子供は汗っかきと言いますが、体内水分量が多く気温が高い環境にいれば当たり前ですよね。
このことを念頭に、外出時の休憩や水分補給を考えましょう!
・暑さに慣れさせる
熱中症はピークである7月~8月よりも前、5月~6月にも発生します。
これは、体が暑さに慣れていない時期に急に気温が上がることが原因です。
このことからもわかるように体が暑さに慣れているか否かは、とても重要なことなんです。
暑さに弱いから夏は外出を控える人もいると思いますが、夏前から徐々に日差しの下で適度な運動をすることで体が暑さに慣れていきます。
暑さに強い体を作ることで、熱中症になりにくくなるんです。
あまり過保護になりすぎると、弱い体を作る原因になってしまうので注意しましょうね!
・再発に注意!
乳幼児が熱中症になりやすい原因として体内水分含有量について説明しました。
その他にも体温調節機能が未発達なことが原因としてあげられます。
大人は外気温の影響を受けても体温調節機能が働き、一定の体温に保てます。
しかし、乳幼児は体温調節機能が発達途中なので、体内に熱がこもりやすく、熱中症になりやすいのです。
逆も然り。
熱中症と思われた時に、涼しい場所で、きちんと水分補給などの対処をした場合、当日~翌日には治っているように見えます。
しかし、熱中症で体力を消耗しているため、すぐに今まで通りの生活に戻ると熱中症を再発する危険があります。
熱中症にかかった後は数日~1週間程度、きちんと休息を取りながらゆっくりと体を元の状態に戻しましょう。
まとめ
高齢者や子供が熱中症になりやすい原因が、わかりましたか?
体内環境が低下している高齢者、未発達の子供は熱中症のリスクはもちろん、入院になってしまうリスクも高いのです。
入院が必要なほど進行すれば命の危険も視野に入れなければなりませんよね。
家庭で事前に予防できることはしっかりと行ってくださいね。
家族や近隣など、周囲の支援があることで回避できることがたくさんあります。
是非、近くにいる高齢者や子供に目を向けてください!